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空海 密教のルーツとマンダラ世界〜奈良国立博物館〜

みなさま、こんにちは。

とても良いお天気だった先週末、絶対に行こうと決めていた奈良国立博物館に行ってきました。こちらで現在開催中の空海展を観るためです。
 

歴史の世界への誘い

久しぶりに訪れた奈良の街。電車で行ったのは初めてだったので、駅や商店街の雰囲気など、とにかく新鮮に映りました。随所に悠久の歴史を感じさせる雰囲気があります。

奈良駅を出ると噴水に立つ行基菩薩がお出迎え

博物館までの道中を歩くと奈良公園の鹿たちが人懐っこくお出迎えしてくれます。可愛くてついつい見とれてしまうのですが、鹿さんたちのお食事の後のアレがたくさん落ちているので、気をつけて歩かないといけません(笑)

 

空海展について

空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界」と題されたこの展覧会は、弘法大師・空海の生誕1250年を記念し、奈良国立博物館が総力を挙げて開催する特別な展覧会です。
衆生救済を願った空海が人々を救うためにたどり着いた密教。その密教伝来の軌跡と、空海が日本にもたらした密教の全貌を解き明かしていく内容となっています。
また、空海が「目で見てわかる」ことを強調した密教の「マンダラ空間」が再現されていて、真言密教の魅力について触れることもできます。

オープンと同時に行きましたが大行列ができていました

  

空海について知ること

ところで、みなさまは空海について、どれくらいご存じでしょうか。
真言宗の開祖。三筆の一人。
偉大な僧ということに間違いありませんが、なぜ空海が密教の教えを日本に持ち帰り、それを布教したのか。
そういうことを改めて知ると、展覧会の見方もまた変わってきます。

讃岐国に生まれる。親族に勉学の道を勧められるも、仏道に進むことを決意。延暦23年(804)遣唐使の一員として入唐し、恵果より体系的な密教を伝授される。滞在期間を大幅に短縮して帰国。密教による人々の救済と護国を目指す。体系的な密教、護国修法などが天皇や朝廷に高く評価された。密教への理解を広げるため、多数の著作を執筆し、日本の真言密教を確立した。承和2年(835)高野山にて入定。

空海展公式サイト

以上は簡単な空海の生涯についての説明になりますが、師匠の恵果とのドラマチックな出会いのエピソードだったり、20年の滞在期間を2年と大幅に短縮して衆生救済のために力を尽くしたり、そうしたことをこの展覧会を通じて知ることができました。
日本史で習ったものの、偉大な僧であるという断片的なことしか覚えていなかったのですが、この展覧会で空海の業績だけではない、人となりというものが垣間見えて、より一層、空海について、密教についての鑑賞が興味深いものとなりました。
835年に高野山にて入定(にゅうじょう)とあります。
入定とは、精神を統一し、無我の境地に至るために瞑想することを指します。高野山の奥之院では今も空海が祈りによって人々を救っているとされ、日に2回の食事「生身供(しょうじんぐ)」が捧げられています。
弘法大師は今もなお、私たちのために祈り続けておられるのですね。
 

みどころ

空海展公式サイトより、みどころをピックアップします。

  • 空海密教の実像に迫る!
  • 空海自ら制作を指揮した「高雄曼荼羅」修理後一般初公開!
    現存最古の両界曼荼羅で、空海が思い描いた密教の世界観を伝え、日本の曼荼羅の原点でもある「高雄曼荼羅」を修理後初めて展示
  • マンダラ世界を立体で再現!
    国宝 五智如来坐像(京都・安祥寺)や重要文化財 大日如来坐像(和歌山・金剛峯寺)、重要文化財 不動明王坐像(和歌山・正智院)、両界曼荼羅など、密教の尊像がぐるりと囲むダイナミックな展示空間で、マンダラの世界を体感
  • 「唐以前」の密教の源流を紹介!
    海と陸のシルクロードを経てインドから中国・唐、そして日本へと伝わる密教の伝播を解説
  • 国宝約28件、重要文化財約59件、密教の名宝を存分に展示!

密教の流れやその体系だったり、マンダラ世界が何なのかということだったり、今までなかなか理解できなかった密教の世界が分かりやすく展示されています。
私は仏教にはそれほど関心がないのですが、それでもこの展覧会はなぜか行きたい気になり、行ってみるとその世界観に圧倒されました。初心者にもとても分かりやすい展示構成なのと、やはり空海という人物の偉大さが、展覧会を魅力的なものにしているのだと感じました。

心に残ったこと

美術館巡り、博物館巡りは大好きなのですが、正直ここまで終始心が揺さぶられる思いをする展覧会は久しぶりです。心に響く何かが確かにそこにはありました。

個人的に印象深かったことを挙げてみます。

曼荼羅の世界観
まずは何と言っても、曼荼羅の大きさです。
そもそも、曼荼羅とは何なのかを知るところから始まった今回の鑑賞でしたが、見終える頃にはすっかりマンダラ世界の虜になっていました。
曼荼羅とは、言葉を理解しない人も救いを受けられるように、仏の悟り境地である宇宙の真理をあらわしたもの。だからでしょうか、見ているととても癒される気持ちになりました。

空海と師匠・恵果の出会いのエピソード
出会った瞬間に心が通じ合ったかのような、二人の出会いのエピソードが好きです。そのわずか1年後に恵果はなくなるのですが、恵果の命が尽きるまでの短い時間に、師からの教えをほぼすべて授受されたんですよね。

力強さは今もなお生き生きと
三筆のひとりに数えられる空海の、自筆の書を見ることができたのも貴重な体験でした。
24歳のときに書かれた聾瞽指帰(ろうこしいき)。空海の書の美しさ、そして力強さは、1200年以上の時を越えてもなお生き生きと私たちに語りかけてくれています。
こちら書は、今回の展示の中で私が最も感動したものの一つなのですが、見た瞬間にその場から動けなくなるほどのパワーを感じました。
購入した図録にもこの書は載っているのですが、やはり実際に見たものとは受ける印象が全然違いました。

空海からのメッセージ
今回、音声ガイドをレンタルしたのですが、そこに面白い試みがありました。
音声ガイド案内のパンフレットにランダムに番号が振ってあり、その番号を再生すると「あなたへの空海からのメッセージ」が流れるというもの。
こういうおみくじみたいなのって楽しいですよね。しかもそれが空海からのメッセージだなんて、何だか嬉しい。私はどんなメッセージをいただけるのだろうと、ワクワクしてボタンを押すと・・・

煩悩が多いと悩む必要はない。煩悩があるからこそ、解脱の原動力になる。だから煩悩を取り去ろうと躍起になるよりも、煩悩と共に解脱を目指せばよい。

こんな教えをいただきました。一言一句覚えているわけではありませんが、これは「煩悩即菩提」のことですね。
煩悩があることに苦しむよりも、それを原動力として解脱(悟り)に向かえば良い。
この言葉を聞いて、すごく心が軽くなりました。だって、私は煩悩のかたまりみたいな人だから(苦笑)。煩悩も悟りへの原動力なのだとすると、今までよくないと思っていた煩悩だらけの自分自身を肯定してあげられそうです。素敵なメッセージに感謝です!

人々を救うこと、これが空海の原動力であったことがこの展覧会を通じてよく理解できました。

虚空尽き 衆生尽き 涅槃尽きなば わが願いも尽きなん 
(この世の全ての物が消滅し、仏法の世界が尽きるまで、私は人々が救われることを願い続ける)

『性霊集』巻第八

空海の願いと密教の世界が、心を癒してくれる素敵な展覧会でした。
6月9日(日)までの開催です。
私もまた観に行きたい!

 

おまけの寄り道

奈良駅周辺は緑が多く、時間の流れが穏やかでとても良い場所だと改めて感じました。
今回は次の予定があったためあまりゆっくりできなかったのですが、博物館へ向かう道中でとても気になっていたスタバには行ってみたくて、少し寄り道。
テラス席で爽やかな風にあたりながら空海展を振り返る時間が、とても贅沢に感じました。
他にも気になるお店がたくさんあり、近くの美術館や寺社巡りも気になるところ。
次回はもっとゆっくり訪れようと思います。

 

本日もお読みいただきありがとうございました。

今日もどうぞ良い1日をお過ごしください!

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